2000年2月に読んだ本



どすこい(仮) 京極夏彦 2000.02.10 第1刷 集英社 ISBN 4-08-774414-0

京極夏彦の連作パロディ短編集。各短編のタイトルが凄い。「四十七人の力士」「パラサイト・デブ」「すべてがデブになる」「土俵(リング)・でぶせん」「脂鬼」「理油(意味不明)」「ウロボロスの基礎代謝」。 帯に、原作者?のコメントが出ている。
感想というのも妙だが、よく書いたなというのが正直なところ。一読の価値あり。でも、書店で手に取るのが少しためらわれるかも。

(2000.02.10)


高層の死角 森村誠一 1969.08.16 第1刷 講談社 ISBN 4-06-114800-1

「高層の死角」読了。はっきりいって好みの問題だが、アリバイ崩しのパターンはあまり好きになれない。森村誠一の作品にはこのパターンが多いような気がする。とはいえ、それなりには面白いと思うが、やっぱり犯人は誰だろうと期待させられるほうがわたしは好きだ。
時代背景もあるのだろうが、今この小説が発表されたら、差別的な発言も問題にされそうだ。昔は夜中も飛行機って飛んでいたんだなあということを再認識させられる。でも、深夜に空港に行くのって、タクシー以外に方法はあったのだろうか。

(2000.02.13)


長崎ぶらぶら節 なかにし礼

ミステリー系の作品が好きで、今年の直木賞候補にも東野圭吾、馳星周、福井晴敏、真保裕一の名前が挙がっていたため、きっとミステリー系の作品が選ばれるんだろうと思っていたが、受賞作品はなかにし礼「長崎ぶらぶら節」であった。また、漏れ伝わってくる選評も、なんとなくミステリー系の作品を除外するような内容だったので、少々憤慨しながら、選評を読んでみようと思って「オール讀物」誌を手に取った。
選評を読んでいると、噂とは異なり、ミステリー系の作品を除外しようという感じでもない。「長崎ぶらぶら節」は比較的短く全文掲載でったので、読んで見ることにした。読み進むうちにどんどん引き込まれて行き、読み終わったときには、なんて面白い作品だろうと思うようになっていた。ぜひご一読をお薦めする。
余談だが、なかにし礼って作詞家というイメージが強かったんだけれど、「兄弟」の発表から10年にもなるらしい。

(2000.02.28)


放課後 東野圭吾 1985.09.10 第1刷 講談社 ISBN 4-06-202342-3

東野圭吾の乱歩賞受賞作。女子校を舞台に2件の殺人事件が起こる。この頃から東野圭吾の世界は完成されていたんだなあ、と思わせる作品。この作品が発表された当時わたしは大学生だから、年代的にはそれほど離れていなかったわけだが、女子校ってこんな感じなのかなあ、でもちょっと違うんじゃないかなという気もした。動機も弱いような。でもまあ、本格にはあまり舞台設定なんかは関係ないのかも。
派手さはないんだけれど、読まされていくのはやっぱり面白いからなんだろう。
帯に、遠藤周作氏絶賛!「こわいぞ。読んでごらん」って書いてあるのだが、どこが恐いのかなと思って読んでいたが、ラストは本当に恐かった。うーん、気をつけよう。

(2000.02.29)