2000年5月に読んだ本



Twelve Y.O. 福井晴敏 1998.09.10 第1刷 講談社 ISBN 4-06-209368-5

先に「亡国のイージス」を読んでしまったが、福井晴敏の乱歩賞受賞作。直接のつながりはないが、亡国のイージスの中で、この作品が伏線になっている。
結構無茶苦茶な内容だが、十分楽しめた。先に亡国のイージスを読んでしまった分、小振りだとの印象は免れないが。
こういう路線の作品はそれほど好きではないのだが、それでも次作も読んでみたいと思わせられる。

(2000.05.05)


枯草の根 陳舜臣 1998.09.15 第1刷 講談社文庫 ISBN 4-06-263877-0

5月に入ってからかなり、読書スピードが落ちてしまいました。乱歩賞受賞作です。舞台は神戸の中国人社会。馳星周の不夜城に見られるような、裏の世界というのではなく(もぐりの漢方医、高利貸しなんかが登場人物にいますが)、あくまで表の世界での殺人事件。探偵役が、食堂の経営者兼もぐりの漢方医というのでは、あまりぱっとしませんが。
この当時は、こういった作品が好まれたのでしょうか。この時代には、サイドストーリーが社会派っぽい作品が多いような気がします。こういうのを読むと、もっと無茶をした、荒唐無稽な作品が読みたくなってしまいます。

(2000.05.15)


サイレント・ナイト 高野裕美子 2000.03.30 第1刷 光文社 ISBN 4-334-92316-X

第3回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品。ストーリー的には、新規参入の航空会社を巡ってその周辺で起こる事件というところか。すらすらと読める作品。
人物描写などうまいと思うのだが、如何せん、犯人がすぐにわかってしまうのが難点。探偵役でもなく、ストーリーの中心に据えられた人物がいれば、こいつが犯人だろうとすぐに思ってしまう。
結末も、もっと悲惨に終わらせ方がよかったのではないか。そうすれば、「おとなの読物」という感じがしたと思うのだが。

(2000.05.16)


午前三時のルースター 垣根涼介 2000.04.30 第1刷 文藝春秋社 ISBN 4-16-319250-6

第17回サントリーミステリー大賞・読者賞受賞作品。最初に言っておくが、こういう作品は好きだ。
ベトナムで消息を絶った父親を高校生の少年が、旅行会社の営業マン(とその友人と)とともに探しに行く。現地で二人の仲間を加えて、父親探しを行う。途中、妨害にあうといったストーリー。ストーリー的には陳腐な気もするが、それなりにスリリング。一気に読んでしまった。

(2000.05.18)


夢・出逢い・魔性 森博嗣 2000.05.05 第1刷 講談社 ISBN 4-06-182127-X

新シリーズ第4作。もう4作目になるのかなという感じだが、前シリーズに比べて、各作品の印象が薄いような気がする。登場人物のキャラクターは個性的なのだが、前シリーズに比べて分散してしまったせいかもしれない。
タイトルは、「夢で会いましょう」ということか。英文タイトルをいつも先に考えると言うことなので、"You May Die in My Show"の方が作品を現しているのかな。

(2000.05.21)


白色の残像 坂本光一 1988.09.14 第1刷 講談社 ISBN 4-06-204118-9

タイトルだけはこの本が出版された頃から、なぜか記憶に残っている作品。セミプロ化する高校野球に対するアンチテーゼというべきか。高校野球が好きではないため、読み始めるまでにかなりの時間がかかってしまった。
読み始めると一気読み。小学生の頃、夏休みに言った甲子園球場の熱気が思い出される。なんだかんだ言っても、自分もやっぱり高校野球が好きだったのかなと錯覚させられた。熱意の感じられる作品だと思う。
第34回乱歩賞受賞作品。

(2000.05.31)